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最後のおねがい(クラウドファンディング)

 

こんばんは、あわ居の岩瀬崇です。書籍『あわ居-〈異〉と出遭う場所』刊行にむけたクラウドファンディング、残り4時間半となりました。現在目標金額の87%を達成、残り100,000円で目標達成のところまできています。今回は、最後の最後のおねがいをさせていただければ幸いです。

 

岐阜県郡上市の石徹白にて、夫婦であわ居をはじめてから5年が経ちました。改修を含めれば8年です。様々なご縁や巡り合わせの中で、今のあわ居となる建物を譲っていただき、様々な失敗と、試行錯誤、暗中模索を重ねてきました。自分たちは一体ここで何がやりたいのか、そもそも自分たちに何ができるのかも一切わからないままに、それでも場をつくり、場をひらき、そのなかで出遭う他者との関わり合いのなかに、自分たちの姿を時折知らされ、あわ居という場所のことを教えていただく、そんな営為が今も継続しています。

 

その中で確かに言えるのは、これはやや自惚れや傲りに聞こえてしまうかもしれませんが、あわ居という場所は自分たちにしかできないし、自分たちにしか守れないということです。そして自分たちはこの現代と言う時代のなかで、この社会のなかで、あわ居を守っていくことに、はっきりとした使命のようなものを感じています。

 

どうしてでしょうか。それはおそらく、あわ居に来訪されるおひとりおひとりとの関わり合いのなかで、ふと垣間見え、実感される互いの存在のかけがえのなさともいうべきものに、どんな価値や意味にも還元できないものを、安易な言語には決して回収されないものを感得し、互いのかけがえのなさが、ただそれとして立ち現れていることの悦びを、私たちが来訪者の方と一緒に実感してきたからなのだと思います。

 

しかしその悦びはいつも、このあわ居という極小的な場で、その場その時に居合わせた、わずかな人においてしか共有されず、さらにはその経験は、言葉を超えたものであるがために、第三者には容易に伝達不可能であるという、そうした性質を孕まざるをえないものです。

 

そして、今回のクラウドファンディングにおいて資金を募ることで刊行を目指している書籍においては、今お話したような、あわ居を媒介に生成している、価値や意味には決して還元されないものを、言語をこえたものを、「ことば」を、「詩」を、書籍というメディアを用いて、この社会において分かち合うことを目指しています。そしてそうした営為によってしか、あわ居という場所を紹介することはおよそ不可能なのだろうということを、私は確信してます。

 

果たしてそんな書籍が形になったとして、そこにどんな意味があるのか。そう問われれば、私は容易に口をつぐむでしょう。なぜなら、私たちは意味や価値など未確定なままで、この書籍をつくっているからです。どんな意味や価値がこの書籍にあるのか、今のわたしには全くわかりません。けれども、それらを度外視したところで、それでもなお、この書籍をつくりたいと思うのです。身体が自然と動くのです。

 

だから、この本ができたとして、これをどなたかに読んでいただいたとして、ではそこに何があるのか、そこで社会にどんな作用や影響が生じるのかは、恥ずかしながら私には一切この時点ではわかりません。

 

だからここで最後のお願いが許されるのならば、もしこの私たちの「わからなさ」に、意味や価値を問うことなく、ただ付き合い、そこに共にそこに居くださる方がいらっしゃることがあれば、そしてその「わからなさ」の先に起きるかもしれない「出来事」に賭けてくださる方がいらっしゃいましたら、どうか最後に、本企画へのご支援をお願いしたく存じます。

 

たいへん長くなりました。もし本文章を最後まで読んでいただいた方がいらっしゃったとすれば、深く感謝致します。それでは残り4時間半。力強いご支援とご協力をよろしくお願い致します。

 

 

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現在87%達成。目標金額まであと100,000円です。

 

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あわ居 岩瀬崇 岩瀬美佳子